かつらであることを言わないなら、徹底して

以前に勤務していたときのことです。

その人は、他の部署から私のいた部署に配置換えで来られました。

まだ30歳代半ばの男性でしたが、感じのよい方で、ごく普通に接していました。

ところが、その職場に長くいた人から、あの人、AGAが原因の薄毛みたいでかつららしいよ、あの若さで、と聞かされたのでした。見た感じ、まったくかつらであることを感じさせない人でしたので、そう言われても、半信半疑で、単なるうわさ話じゃないの、くらいな気持ちでした。そのことを教えてくれた人も、そうらしい、といううわさ話だけで、真実かどうかわからない、というものですし。

ただ、そういったん聞いてしまうと、どうしても何かあると、すぐに、頭に視線がいってしまうのです。たとえば、彼のとなりに立って、仕事の話をしていると、どこからがかつらなのかな?と、ふと、頭に目がいくのです。特にとなりに立っていると、上から彼の頭を見下ろす形になってしまいますので。でも、やっぱりわかりませんでした。

ところが、ある日、窓際に彼がたったときに、わかってしまったのです。微妙な光の反射で。かつらの留め具でしょうか。それが反射して、到底考えられないところに、光を感じてしまったのです。周囲にいる人にも、確認したところ、やはりそうだろう、ということになり、かつらと確信しました。

ただ、そこで思ったことは、もし、そのような情報を知らなかったら、頭を気にしてみることもない、その光をそういった器具だと思うこともない、ということです。もし、かつらであることを隠したい、と思っているのであるならば、徹底して、そうしていただきたいと思います。

それ以降、頭の毛の話は、すっかりタブーになったし、彼の隣に立つときにも、頭に視線をやることもできなくなりましたし、妙にぎくしゃくしてしまうからです。